「患者から見た医療浣腸の実際」(完成版)

ファンのHさんの豊富で貴重な体験談を元に、ももこの想像も交えて真面目に
一覧表や具体例などを、医療論文風にまとめました。
医療、介護現場での浣腸実施クオリティー向上にも役立つこと請け合いです。


Hさん、貴重な体験談を有り難うございました。
皆さんからも随時追加、訂正の注文や、掲載の提案も受け付けていますので
今後も気軽にコメントをお寄せくださいね!宜しくお願いします。

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「患者から見た医療浣腸の実際」ある患者の浣腸実体験より
はじめに     
 便秘治療や、検査などで不可欠な浣腸処置は、近年暫減の傾向を見せている。また代替となる下剤も多く開発されてきており、どうしても浣腸処置が必要な場合を除き、症状に見合った下剤の処方だけで済まされるケースが多くなった。も多くの医療現場で、医師の指示の下で摘便や浣腸処置は広く行われている。ここでは、ある患者の浣腸の実体験を元に、浣腸の実際と理想的な浣腸のあり方について考察する。

1. 医療浣腸の実施の時代変遷     
 Fig1は、昭和初期から現在までの医療浣腸の実施状況について、纏めたもの昭和初期から浣腸は手軽な医療処置として家庭内でも多用されていてその多くはガラスシリンジ浣腸器であり一般家庭での普及率も高かったことが覗える。
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                 Fig1
2. 浣腸の目的と浣腸液について
 Fig2は、浣腸の目的と浣腸液の種類について纏めたもので、旧来の目的は主に便秘による、腹痛や発熱の解消として施行されていた。浣腸液には、グリセリンや、薬用石鹼、稀に塩化マグネシウムの水溶液などがあり高圧浣腸用では、微温湯、薬用石鹼などでいずれも医療関係者又は、その指導の下に実施されている。
 特殊な浣腸としては、硫酸バリュウムの水溶液を造影剤として肛門から大腸注入し多量の空気で大腸を膨らませて検査する注腸造影検査や、便秘診断として小麦粉と硫酸バリュウムの混合物を水でといて粘度の高い疑似便として用いる排便造影検査なども見られる。
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                                               Fig2                   
 ※1:グリセリン50%の希釈水で商品名はイチジク浣腸など 
 ※2:塩化マグネシウムの水溶液で商品名は
ドナン浣腸液
 ※3:リン酸ナトリウム系の水溶液で商品名はフリートエネマなど
 ※4:薬用石鹼の水溶液
 ※5:直腸温よりやや高め(40~41℃)の温水
 ※6:硫酸バリュウムの水溶液で造影剤や疑似便として使用
 ※7:小麦粉と硫酸バリュウムを水でといた物を疑似便として使用


3. 浣腸を実施された場所
 Fig3は、浣腸の種類と使用頻度について主観的に纏めたもので、その多くは家庭内での市販浣腸、処方浣腸で次いで多いのが、近くの診療所、次に病院となった。 
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                                                 Fig3

 ※1:市販浣腸で30、40gのイチジク浣腸 コトブキ浣腸 スースカット浣腸など
 ※2:処方浣腸で60~150gの「ケンエー」「オヲタ」「ムネ」「東豊」浣腸など
 ※3:高圧浣腸で200~1000mlの薬用石鹼の水溶液
 ※4:高圧浣腸で500~2000mlの微温湯
 ※5:高圧浣腸で500~2000mlの硫酸バリュウムの水溶液(注腸検査用)
 ※6:注腸検査用にエネマシリンジを使用
 ※7:大腸内視鏡検査用の追加処置でエネマシリンジを使用


4. 浣腸実施の指示と看護師の声掛け  
 Fig4は、医師、看護師の声掛けの内容と声掛け頻度を示した表で古参になるほど、声掛け頻度が下がる傾向が見られた。従って浣腸処置は、患者にとって場慣れしたベテラン看護師よりも、初心の心で患者に接する看護師のほうが好まれる。
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                        Fig4
5. 浣腸の実施場所と姿勢及び、浣腸形態と年代別看護師の手技について
 Fig5は、浣腸の実施場所と浣腸時の体位及び、施術者が医師の場合と看護師との違いを示した一覧表である。高圧浣腸は、昭和中期まで大腸検査前の前処置として標準作業のようにトイレで看護師が施術してたが、近年ではトイレに浣腸用ベッドを設置し、左側臥位で施術する病院も増えてきている。
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                       Fig5

 

 Fig6は、旧来のシリンダー浣腸器と、近年ディスポーザブル浣腸の実施場所と、その姿勢及び、看護師の年代別の施術技巧の違いを経験的に表したものである。 総じて言えることは、年配の看護師のほうが浣腸は巧いと言えるが、近年ディスポーザブル浣腸の場合は、30代前半の看護師が上手な場合が多かった。 ただし若い看護師でも、声掛けから手技まで巧く出来る場合も多くあることは確かである。
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                       Fig6
6. 浣腸手技の良否例
 Fig7は、看護師の浣腸手技の良い例と悪い例をあげたものである。例のように無言で淡々と行う浣腸は、患者の不安や緊張を充分に取りきれず適切な処置とは言い難い。  現場の看護師は、自分は左右のどちらを実践しているだろうか?と振り返って、多忙な日々の中でも、浣腸処置を受ける患者に寄り添う心を大切に接するように望みたいものである。 
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                       Fig7


7. 浣腸実施で印象に強く残った場面10選 
 ある患者(仮名Hさん)の実体験談より。
第1位 
 若い看護婦さん2人がかりで 下半身裸で仰向けでケンエーG120㎖2本。
1本ずつ浣腸されました。 
 「Hさん左を下に側向きに寝てくださいねー」

 「1個目の浣腸でーす 管をいれますよー
   お尻の力を抜いてねー お薬をいれまーす」
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 「Hさん便が固いからもう1個いれますけど 辛かったら言ってくださいねー」
浣腸されながら 勃起していくのを2人の看護婦さんに見られ、思わず隠すと
 「男の方は浣腸されて勃起するのは普通ですし
  私達は慣れてますので、気にしないでくださいねー」
と言われた。 
第2位  
 看護婦さんに下半身裸で仰向けで摘便されてからシリンダー浣腸器50㎖で

浣腸され更にポータブルトイレで排便させられた。
 「Hくん 浣腸の前に摘便しますから仰向けになっねー」
 「汚れるといけないから脱いじゃいましょう」
 「指をいれまーす はーと息を吐いてー 痛かったら言ってねー」
 「浣腸したらなるべく我慢してポータブルトイレに出していいですよ」
第3位 
 若い美人女医さんに何度もお尻に指入れられて触診された後に、看護婦

さんの見ている前でそのまま女医さんにケンエーG120㎖を浣腸された。
 「力を抜いてーお尻に指をいれますよ
    んんん なんかーーー もう一度いれますよー」
 「Hくん便が固いから浣腸してみましょう 
  ○○さんケンエーG120㎖を温めてもってきてくれる」
第4位  
 かかりつけの病院で若い看護婦さんに新人看護婦さんと指導看護婦さん

2人がかりで浣腸された。
 「Hくん 今日は勉強のために新人看護婦さんに浣腸させてねー}
 「貴重な経験になるからしっかり覚えるようにね」
 「はーい」
  「浣腸の体位は左側臥位になってもらいます」
 「Hさん左を下に側向きに寝てくださいねー」
 「管をいれますよー お尻の力を抜いてー」
 「浣腸の管を入れすぎると 腸穿孔などの危険があるので注意が必要よ」
 「そうそう浣腸液はゆっくりと注入しますよ」
 「はーい 全部入りましたよー」 
 「必要に応じ お尻の穴を指で押さえて充分我慢させます」
 浣腸したのは新人看護婦さんで指導者は横で見ながら助言する感じでした。
第5位 

硝子シリンダー浣腸器50㎖を使っている病院で若い看護婦さんに仰向け

パンツを一気に下げられて浣腸をゆっくりと時間をかけて注入された。
 「Hくん 浣腸しますから仰向けになっねー」
 「パンツ汚れるといけないから下までさげますよー」
 「浣腸器をいれまーす」
勃起して我慢汁が出てるのをしっかり見られました。
第6位 
 母校(高校)の通学路にあった診療所での高圧浣腸
ベテランの看護婦さんにパンツを膝迄下げられて仰向けで高圧浣腸をされ

たのですが管をお尻に入れる直前に汚れるといけないからって言われて

パンツを脱がされて仰向けで、おちんちん丸見えの状態で管を入れられて

浣腸された。
 「Hくん 浣腸液沢山いれるから仰向けでしましょう」
 「汚れるといけないからパンツ脱いじゃおうね」
 「管をいれまーす」
トイレまで下半身裸の状態で行きました。
水栓和式トイレでしたけどすぐに浣腸した看護婦さんが確認に来て排泄し

てる姿を見られました。
第7位 
 実家近くの病院でケンエーG60㎖を2本をトイレでお尻を突き出す感じ

された。
 「もう少しお尻を突き出してー 指をいれますよー」
 「大分固いから浣腸1回ではでないかもしれませんよー」
お尻突きだすとパンツを一気に膝の下迄下げられてお尻に
指でゼリーを塗られてから触診してから2本浣腸された。
第8位 

 やや古い診療所でのケンエーG120㎖浣腸
若い看護婦さんに左下の体位でパンツを膝の下迄下げられてゼリーを

お尻に塗られて指を入れられてかき回されてから浣腸された。
 「浣腸のまえに指がいりますよ ごめんなさいねー」
排便後に確認に来た看護婦さんにトイレでお尻に指を入れられて触診

された。
 「もう一度お尻の様子をみますのでまた指をいれさせてくださいねー」

第10位 

 自宅近郊の内科、小児科医院での浣腸。
この診療所で初めて浣腸された時はシリンダー浣腸器30㎖でしたけど2回

はオヲタ60㎖にかわってしまいました。
この診療所でも何度も浣腸されましたが印象に残る浣腸は2人の看護婦さん

勉強の為に見学させてもらえないかと浣腸する前に看護婦さんからの申

し出があり、嫌とは言えずに承知してしまいましたが、若い看護婦さん2人

が見てる前で浣腸されるのは凄く恥ずかしいです。
浣腸する看護婦さんが浣腸の仕方を一つ一つ説明しながら進めて見学してる

看護婦さんはメモを取ってるのが目に入ります。
 「Hちゃん 今日は勉強のためにおねーさん達にも見学させてねー}
ーー浣腸する時は患者さんのバイタルサインなどよく見ておくようにねーー
 「はい」
 「Hちゃん左を下に側向きに寝ててねー」
ーー浣腸の体位は左側臥位になってもらいますーー
パンツは膝の下迄下げられて左下の体位で浣腸されました。
ーー浣腸の管は大人は7センチくらいだけど、子供では4センチくらいです
 深く入れすぎると 腸穿孔などの危険があるので充分注意が必要ですーー
 「Hちゃん管をいれますよー お尻の力を抜いてねー」
 「お薬をいれまーす」
ーー浣腸液は1分くらいかけてゆっくりと注入しますーー
 「はーい 全部入りましたよー」 
 「お尻を押さえていますので このまま5分我慢しましょうね」
終わってすぐにトイレに行けると思ったのですが、なかなか解放して貰えず

そのままお尻をトイレットペーパーでおさえられて5分我慢させられました。
 「はい よく我慢できました トイレにいきましょうね」
ーー排便確認は重要です 便の性状や血便がないかなどよく観察しますーー
 「終わったら流さないで おねーさん達に見せてねー」
とトイレに入る前に流さないでと一言言われて排泄後に確認に3人で来られた。
この事も説明していました。
新人看護婦さんの勉強指導とは言え、結構恥ずかしかったし、お尻をおさえ

られたままで5分も我慢させられたのは予想外の出来事でした。

 

8. 浣腸実施の具体例各種 別ページに掲載
 
8-1.浣腸実体験集(ガラスシリンダー浣腸器での浣腸処置)
 8-2.浣腸実体験集(医療用ディスポ浣腸器での浣腸処置)
 8-3.浣腸実体験集(高圧浣腸とその他の特殊浣腸処置)


9. 患者から見た医療浣腸の理想的なあり方への提言     
 一昔前とは違って、今の時代はプライバシーへの配慮がなされてきており
 排便用の浣腸は使い捨て浣腸が主流となった。
 しかしその手軽さ故にトイレの中で中腰姿勢を取らせて行う浣腸処置が多
 くなり、腸穿孔などが発生した事例も数件報告されている。
 そこで患者へのプライバシーへの配慮をしつつ、安全安心で理想的な浣腸
 処置あり方について患者の立場から希望を込めて提言する。
まず避けて欲しい行為
①他の患者に浣腸される事が分るような呼び出し、浣腸の宣告
 医療現場では浣腸は普通処置なので、悪気なく浣腸の宣告をする場合が
 あるが、患者にすれば人生初の浣腸経験と言う者も少なくないはすである。
 そして浣腸されると言う行為は、他人に肛門を晒す羞恥と屈辱の行為であ
 ることを医療従事者は忘れてはならない。
②浣腸の行為を充分も説明なく淡々と進める
 最初は、患者に気を使い丁寧にやっていたはずなのに、数年も同じ行為を
 繰り返すうちに、慣れや油断から自分本位の処置に変化してしまう。
③勉強不足
 若い看護師は経験が少なく不慣れなのは止むを得ないが、これに勉強不足
 と自分本位が重なると最悪で、驚くことにそのような看護師は数十%近くも
 存在している。
④手抜き浣腸
 浣腸という行為は傷付きやすい粘膜に外から管を入れる訳で、その前には
 必ず潤滑用のワセリンやゼリーを塗り、時には指による触診が必要であると
 習っている筈である。
 それでも手を抜いて浣腸管を痛がる患者の肛門に入れる等の不心得な看護
 師がいることも悲しい現実である。

理想的な浣腸とは
①浣腸の宣告は他の患者に悟られないように配慮する
②浣腸室ではトイレの位置の説明や場合により簡易便器を用意する
③浣腸の前にベッドに横になる理由や姿勢を丁寧に説明する
④ズボンやスカートのベルトは患者がやりパンツを下げるのは看護師が行う
⑤浣腸の前に浣腸の管や肛門のゼリーを塗る行為を説明しながら優しく行う
⑥医師の指示が無くても肛門の内部に危険な瘤や切れ痔がないか触診する
 その前後の声掛けも重要
⑦浣腸管を挿入する際は必ず声掛け
⑧管の挿入で痛がる患者は切れ痔などを疑い無理せず慎重に優しく行う
⑨浣腸液温は38~42℃であること 浣腸液注入開始には声掛けは必須
⑩浣腸液注入中は患者バイタルサインを注視しつつ優しく声掛けも
  (呼吸、脈拍、血圧、疲労度、腹部膨満などに注意)  
⑪浣腸液注入終了の声掛け
⑫浣腸の管を抜く際には漏れないように注意の声掛けも
⑬浣腸後は板オムツか重ねたティシュを肛門に当てる
⑭そのままで少し様子をみてトイレか簡易便器に誘導する
⑮トイレで残りの我慢の指示と排便確認の旨を伝達
⑯排便確認前後の声掛けと必要に応じ説明
  (排便の有無、量、性状、色、臭い、排ガスの有無、今の気分など)
⑱患者への労い言葉声掛け
⑲①~⑱までの一連の動作、声掛けを及第点で出来たかを常に自問する
ここまで出来る看護師は、患者と仲間からも厚い信頼を受け、短期間で皆を
まとめる立場まで登り詰めるであろう。

最後に
 医療従事者は、時に患者の命をも預かる崇高な仕事であり、誇りと強い責任
感を持って患者と対峙されているものと察する。
しかし、浣腸という言わば簡単な医療行為が故になおざりになる事も多く、患者
に対し、必要以上の羞恥や苦痛を与える医療行為でもある事を再認識し、初心
を忘れず、常に患者の心に寄り添った良き医療従事者であるよう切望する。
同時に、コロナ蔓延で増々過酷になった医療体制の中でも献身的に患者に尽
くされている全ての医療従事者の方々に、心から深い感謝の意を捧げたい。

参考文献

浣腸とは - 勤医協中央病院
浣腸の目的:下部腸管の内容排除と直腸内への液体(薬剤)注入
医療事故情報等分析作業の現況「グリセリン浣腸実施に伴う直腸穿孔」について



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